細江 弥生
これまで、セルフケアについて、
・対人援助職にとっては必要不可欠である事
・特別、又は一時的にするのでは無い事
・クライエントをケアするように自分自身もケアする事
・日常生活の小さなことから始められる事
・継続性の大切さ
・継続のコツ
・セルフケア=何かをする、または足す事ばかりではない事
などをご紹介してきました。
「セルフケア」は、疲れた時や落ち込んだ時だけに行うものではなく、「日常的に自分を思いやる対人援助職従事者として必要不可欠なもの」という事を強調しておきたいと思います。
私がアメリカで働いていた頃の上司、AさんがSNSに掲載したセルフケアについての投稿が共感できるものだったので、ご本人に許可を頂いた上で皆さんに紹介します。
Aさんがオンライン上で開催されたセルフケアの集まりに参加した時のお話しで、そこで行ったワークについて書いていました。
あるアートセラピストがファシリテートしたワークの中に、「各自が日常的に家で行っているセルフケアを表す“物”を、虹の色の分集める」という課題があったそうです。
Aさんは、ヨガマットなど、セルフケア として行っている自宅にある物を集め、それについて他の参加者達とシェアしたそうです。
そのワークを通して、Aさんは自分が集めたものを眺めながら、「自分を思いやる事は、日常生活の中でこそできる」と実感したそうです。
「Self-care doesn’t have to be a break from life. Make your LIFESTYLE one that promotes your wellness. セルフケアは、日常からの “休息・中断” である必要はない。あなたのライフスタイルそのものを、ウェルネス向上に使おう」
という彼女の言葉が強く心に響きました。
私は、この「日常からのbreak (休息・中断)ではない」という感覚が、セルフケアに置いてとても重要なポイントだと考えています。
「何か上手く行かない」と感じる時、セルフケアグッズを買う事や、セルフケアっぽく聞こえるスピリチュアル活動や運動を始める事で満足したくなるのですが、これらの行為によって反対に本質的なセルフケアから遠ざかってしまう時もあります。
「自分はセルフケアを実践していたと思っていた」という方から、「〇〇の習慣をセルフケアと思いこんでやっていたけれど、むしろ疲れが蓄積されていたことに気がついた。〇〇の習慣が自分のセルフケアに本当につながっているのか、そこを考えずに、一般的に良いと言われるものを自分にも良いと思い込んで行っていた」というお話を聞いた事があります。
一見セルフケアに見えるものを手当たり次第やってみることで、心身の健康向上に繋がる場合もあるでしょう。
しかし、多くの場合は、堂々巡りや空回りする期間が長引き、何も効果が得られず、本質的なセルフケアにたどり着く前に疲弊してしまったり、挫折してしまう可能性が非常に高くなります。
「本質的なセルフケア 」においては、自分自身の全体像をアセスメントし、問題や課題を整理整頓し、セルフケアとして優先的にやっていきたい事を見極めるところからスタートすることが大切です。
*自分の仕事や音楽療法臨床とは繋がりがないように見えるセルフケア。
*大切だとはわかっているけど、中々優先順位が上がらないセルフケア。
*自分はなんとなく「できている」と思いがちなセルフケア。
誤解されることも多く、なおざりにもされがちなセルフケアですが、対人援助職従事者が心身共に健康を保って長く仕事を続けるための必須アイテムです。
セルフケアの本質を理解し、日々のお仕事、そして、ご自身の成長や私生活にも良い影響をもたらす「ライフスタイル」を習慣化していただけたらと思います。
次回の日本音楽療法学会認定講習会「音楽療法とセルフケア」は、2022年10月8日&9日に開催予定です。本質的なセルフケアを学び、実践する力をつけていきましょう。
講習会&セルフケア・プログラムの詳細はこちらから
↓ ↓
https://www.musicfitsjapan.com/services/学び-サポート/mt-セルフケア講習会・プログラム/
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