細江 弥生
セルフケアの重要性を感じさせてくれるquote=引用として、グループ・サイコセラピーで有名な精神科医、アーヴィン・ヤーロム博士の言葉をよく思い出します。
「therapist’s most valuable instrument … the therapist’s own self. セラピストにとって一番大事な楽器(道具は?)…セラピスト自身である。」
音楽療法士にとって、音楽やそれを奏でる楽器は大事な道具です。しかし、その前に自分自身という楽器が整っていなければ、効果的なセッションはできません。そして、自分という楽器を整えてくれる行為こそがセルフケアになります。
私がセルフケアを初めて体験したのは、大学院時代にカウンセリングのクラスを履修した時です。大学では「Holistic Health」という、健康を包括的に考える学部でカウンセリングの授業を履修することが可能でした。この授業では、様々なサイコセラピーの技法を学ぶと同時に、まずは自分の健康を考えようという課題もありました。
そして、実践訓練として自分自身の健康を包括的にアセスメントして、改善するプランをたて、実行するという体験をしました。
それは自分自身を知る新たな発見という楽しい過程であったと同時に、こんなにも何かに継続的に取り組み、改善を試みることは大変なことなのか、と実感した体験でした。
人間が変わるには大きなエネルギーを必要とし、決して楽しいばかりではない。
また、セラピスト自身も人間であり、脆い存在であり、クライエント同様に日々のケアと自分自身への思いやりが重要であるということを学んだ貴重な体験でした。
セルフケアを実践することはクライエント体験にもなります。
決して、何か卓越したようなスーパーセラピストになることが「セルフケア」を行う目的ではありません。
セラピストも一人間であるということを実感し、クライエントと同じ目線で自分という「楽器」を見つめ直せる機会にもなると思います。
このカウンセリングのクラスは、セルフケアを行うきっかけにはなりましたし、時々思い出しては実行していましたが、この時はセルフケアの鍵である「日常的に行うものである」という認識を欠いていました。
次回、この点について書いてみたいと思います。
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音楽療法士とセルフケアについて、その本質と具体的な実践方法をセットで学べる講習会の次回開催は以下となっております。
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「音楽療法士とセルフケア」
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♪形式:オンライン双方向型
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