細江 弥生
掲載が遅くなりましたが、前回のリポートその1の続きです。
今年6月に京都で行われた世界パーキンソン病大会では、学術的な発表以外にたくさんのイベントや参加型のセッションが盛り込まれていました。芸術に関するものも多く、アート作品の展示、自主制作動画のコンテスト、ダンスのセッション、コーラスのセッションなどが開催されました。
その他には、卓球ができる部屋、マッサージが受けられる部屋、ボクシングをベースにしたエクササイズのプログラム、太極拳などもあり、患者さんや介護者の方が楽しみながら学会に参加している様子が印象的でした。もちろん研究に関する重要な発表もたくさんあり、私は参加できなかったのですが、最終日には山中伸弥教授も講演をされたそうです。
大会には世界中から沢山の人が参加しており、その中にはボランティアスタッフとして働き大会を支えた当事者や家族の方々がありました。日本人のボランティアの方達も外国のボランティアスタッフと混ざって、大会の至る所で丁寧にサポートしてくださいました。私自身は通訳のボランティアとしての参加でしたが、コーラスのセッションでは伴奏を担当し、言語療法に関するラウンドテーブルでは日本人の参加者の方のサポートに入り、音楽とダンスに関するワークショップでは同時通訳を担当しました。
通訳を担当したワークショップでは、音楽療法士、理学療法士、ダンサーであり運動科学者でもある3人がそれぞれの最新情報について動画などと共に具体的な臨床シーンを見せてくれました。研究として素晴らしいだけではなく、患者さんの日常生活を直に改善する臨床力にも圧倒されました。臨床と研究の繋がりを実感させていただいた気がします。
また、どの先生も今後期待できるプロジェクトを始動させており、これからパーキンソン病患者の皆さんにもっと音楽やダンスを役立ててもらうことができるだろうという、希望も見えたワークショップでした。
私にとって学び多き4日間であり、世界中の多職種専門家と出会い、交流できた大会でした。ここでの出会いや学びをまたかけはしの会でも共有できたらと思います。
次回の世界パーキンソン病大会は2022年6月にスペインのバルセロナで開催されるそうです。最新情報はこちらでチェックできるようですので、興味のある方は是非のぞいてみてください。
前号記事を読む<<< >>>次号記事を読む