小沼愛子
本会主催によるこの夏の研修会第一弾、「MTSSA(Music Therapy Social Skill Assessment and Documentation)研修会」が先週末東京にて開催されました。
会場は江東区の東大島文化センター、今月からリニューアルオープンされたばかりの綺麗な会場です。講師はMTSSAマニュアル作成者のメンバーでもある本会スタッフ細江弥生が務めました。
研修会1日目朝、MTSSA基礎編(3時間)が始まりました。基礎編では、MTSSAが確立されるまでの流れ、MTSSAにおけるソーシャルスキルの概念、MTSSA を使用する上で必要となるアセスメントの基本知識などの紹介がされました。
同日午後2時、全10時間に渡る「MTSSA実践編」が始まりました。前半では講師と共にマニュアルを読み解きながら、このアセスメントの利用法を具体的に学んでいきます。頭を使う作業が続き少し疲れてきた夕方、音楽を使ったロールプレイで体を動かしながら使用法を学ぶ体験学習が始まりました。
2日間通してご質問、ご意見、アイディアが飛び交い、音楽と笑いが沢山の活発な講座でした。
途中、「こんな長時間の講座は受けたことがなくて体力が持つかしら」(全13時間に渡るトレーニングです)、「このような概念、視点は聞いた事がなくて新鮮、びっくり」とおっしゃる方々もいらっしゃいましたが、最終的には、「13時間でも足りない、もっと実例を見たい、もっと他の人の意見が聞きたい」「自分の臨床に活かせるのか心配だったが、イメージが湧いてきた」といった声が多く聞かれました。
主催者の私自身、MTSSA実践編には今回が初参加で、参加者の皆さんとご一緒に勉強させていただきました。何よりもこれだけのアセスメントツールを作成したMT達の努力を賞賛する気持ちでいっぱいです。
自分が主催者であるため数々の反省点はあるのですが、私個人が良かったと思っている点は、「MTSSA というアセスメントは完璧ではなく発展途上であること」「数多く存在するアセスメントの一例であるに過ぎない」などの弱点とも言えることを、開発者の一人でもある講師から伝えていることでした。また、「このアセスメント自体は行動療法に基づいている部分が大きいが、様々な音楽療法のアプローチと共に使用できるものである」ということを伝え、実際に使い方を参加者と一緒に考えていくのも良かったと思います。
何かと悩みや難しいことの多い音楽療法界において、「これはオリジナルで画期的!」というように売り出しすれば、つい飛びつきたくなる人もいるかもしれません。が、実際には万能なメソッドや理論は存在していないと思うので、「これまでやってきたこととどう結びつくのか」という考えを中心に新しいことを紹介することが大切だと改めて感じる機会になりました。
参加者の皆様、2日間のトレーニングご参加、本当にお疲れ様でした!心からの感謝を申し上げると同時に、色々至らない点が多くご迷惑おかけしたことを今一度お詫び申し上げます。
このトレーニングいついては既に複数の再開催リクエストをいただいておりますので、今後も継続していくことを視野に入れています。今回を逃した方々は次回是非ご参加ください。
さて、今週は別のトピックで複数の研修会を開催します。
8月29日(水)には、神戸にて「音楽療法アセスメント」ならびに「音楽療法士の仕事を定義する〜自分の仕事を自らの言葉で表現する」の講座を開催します。両講座とも、講師はスタッフ細江と私(小沼)が共同担当します。
9月1日&2日には、仙台にて「音楽療法における観察と記録」「音楽療法士とセルフケア」の講習を開催、こちらは私が講師を担当します。
いずれの講座も数席空きがありますので、皆様是非ご参加ください。神戸と仙台で皆様にお会いできることを楽しみにしています。