小沼愛子
寒冷地ボストンにもついに春がやってきました。すでに初夏?のような地域もあると聞いていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
冬の間諸事情であまりブログを書けずにいましたが、本日ついに前々から連載したかったトピックについて書き始めることにしました!
これまでに高齢者対象の音楽療法臨床や音楽活動に携わってきた中から感じてきたこと、学んできたことを、ちょっと違った方向からお伝えしていきます。
近年、高齢者を対象とした音楽療法や音楽を取り入れたプログラムについて、以前より数も種類も多くなっているという印象を持つようになりましたが、その点皆さまはどうお考えでしょうか?
日本でもアメリカでも、音楽を取り入れた高齢者向け各種プログラムは何十年も前から存在しているものですが、音楽療法をはじめとし、リハビリテーションやレクレーション現場でも「音楽をもっと効果的に使おう」という意識の広まりと深まりを最近色々な場面で感じています。
高齢者への音楽療法の定石の一つが、「クライエントが若かりし頃に慣れ親しんだ曲を使う」というもので、実際に多くの音楽療法士がこの点を意識して選曲しています。特に認知症の方への音楽療法においてこれは王道だと言えると思います。(実際には、その音楽を「どう使うか」が音楽療法士の腕の見せ所なのですが、そこはまた別の機会に書きたいと思います。)
発話も表情もすっかり失い一日中うつ向いて座っていただけの認知症の患者さんが、突然(もちろんそこに音楽ありきですが)60年前のヒット曲をにっこりしながら歌う、というような、一見奇跡的にすら見えるシーンを普通に見ることのできるのが音楽療法士の日常です。
音楽の力、音楽と脳の関係の特異性をまざまざと実感する瞬間であり、この仕事の意義とやりがいを感じることのできる瞬間でもあります。
一方、高齢者対象の音楽療法には他にも色々な手法があって「昔の歌謡曲や唱歌だけが有効な音楽ではない」という考えも私の中に存在しています。そして、自分と同じように考えている音楽療法士は確実に増えてきているとも感じています。
次回ブログから、実際のエピソードやプログラム、臨床から得たアイディアを紹介しながら、「高齢者(もしくは〇〇患者)には絶対この音楽(もしくは〇〇アプローチ)」と決めつけず、色々試してみましょう」というスタンスで話を進めていきたいと思います。
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