小沼愛子
左の写真は、2017AMTA学術大会プログラムの表紙です。一番上に大会テーマが大きく記されています。前回ブログで紹介しましたように、「マインドフルネス」に関連のことが毎日取り扱われていた大会でした。
今回は、大会2日目の朝、大会場で開催された、“What Is Mindfulness Anyway”と題された特別講演(The 2017 Carol Bitcon Lecture)について書いてみます。
簡単に言うと、「マインドフルネスって一体何?」を、色々な角度から光を当てながら紐解いていく、という講義でした。
冒頭、講演者Anne Parker 氏から、「これは科学的視点 (scientific view) からではなく、臨床的見地 (practical perspectives) からの講義です」と注釈が入ります。これに続き、「最近では、マインドフルネスはビジネスのキャッチフレーズとしてお馴染みとなりましたが、誤解も多く残念に思っています」という彼女の見解が述べられ、この点は自分も含め多くの聴講者が同感したのでは、と思います。
これらの前置きの後、「我々は上手くいかないことに固執してしまう (We stick something not working) 」という話があり、左横のような絵(ネズミが脳の中でぐるぐる回っている図)がスクリーンに映し出され、会場はどっと笑いに包まれました。
私なりに噛み砕いて補足してみると、「人間は、うまくいかないと過去の経験などから分かっているはずのパターンにハマってしまうものである」=「人間は思考の癖からなかなか抜けだけない」という感じになります。
さて、この点を大前提として講義は進みます。 マインドフルネスの歴史について、研究の特徴について、各心理療法との関連について、そして、そもそも「マインド」とは何か?などを紹介しながら、マインドフルネスというものの輪郭を明確にしていきます。その上で「マインドフルネスで一体何ができるのか?」という部分に話が展開します。ここまで猛烈なスピードで講義が進み、最後に皆で歌唱のアクティビティを行いながら「マインドフルネスを音楽療法の臨床で活かす方法」についてごく簡単に触れられました。
一時間弱の講義としては非常に盛り沢山で、とてもここに書ききれる量ではありませんでした。また、導入は誰にでも分かる易しい感じでしたが、全体的にはマインドフルネスに関してある程度の予備知識を持った人でなないと付いていけないスピードと内容だったと思います。
講義中「マインドフルネスとは何か」のまとめも紹介されました。しかし、ごく一般的なその情報よりも、「 マインドフルネスではないもの(似て異なるもの=誤解されがちな項目)」を紹介してくれたのが面白く、マインドフルネスを理解する上で違った角度から考える助けになると感じたので、日本語にして読者の皆さまとシェアしたいと思います。
【マインドフルネスではないもの】
1. - 何も考えないこと
2. - 感情を持たないこと
3. - 至福を求めること
4. - 痛みからの逃避
5. - 宗教やスピリチュアルな信条
6. - リラクゼーション(リラクゼーションを助けるものであるが、そのものではない、という意味)
私個人は一つ一つに同意しながらメモを取っていましたが、皆さんはどうお感じになるでしょうか?
マインドフルネスについてはこれまでも色々勉強してきましたが、今回AMTAの学術大会でフォーカスされたことによって、やはり音楽療法にとって大切な要素であると確認できたことが嬉しくもありました。本会でも引き続き取り扱いたいトピックの一つです。
次回ブログでは、マインドフルネス以外にこの大会で学んだこと等をまとめてお伝えする予定です。
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