小沼愛子
11/10〜 11/13に開催されたアメリカ音楽療法学会(AMTA)の全国学術大会リポートの続きです。
まずは、日本の音楽療法士の皆様にも広く知られるパーカッションメーカー「Remo」の話題からです。
この大会の開会式では、毎年 Lifetime Achievement Award という特別な賞が、 長年に渡り音楽療法界に大きく貢献した2名に与えられます。今回、数ヶ月前にお亡くなりになったRemo 設立者のRemo Belliさんも表彰されました。開会式会場に入る際、参加者全員にRemoさんの写真のついた小さなドラムが手渡され、これを皆で演奏する時間も設けられました。
さて、こんな感じで、皆で歌ったり手拍子したり、スタンディングオベーションしたり、結構忙しいのがこの大会の開会式です。しかも、開会式が夜。大会の始まり方からして日本の学会と大きく違う感じがあります。
今年は日本とアメリカの学会両方に参加したので、日米学術大会の相違点についても考えてみました。前号で書いた通り、日本の音楽療法学術大会と参加者数自体は同じ数なのです。しかし、なぜかAMTA大会は規模が大きく感じられるのです。その要因は複数ある気がしますが、特に目立って分かりやすいと思う点を2つ挙げてみます。
●まず第一に、出店・ブース数、そして、イベント・ミーティング数が多い。
中でも最もスペースを取っているのが、出店&ブースです。日本の大会でも音楽療法関連の書籍や楽器を扱う出店がありますが、あんな感じプラス各学校などのブースがずらりと並ぶ「エキシビジョン」専用の大きな会場が設けられています。
今年のブース数は57、盛況です。年々大きくなっている印象があります。大手楽器店からの出店だけでなく、特定の楽器を扱う店、健康に関するシステム関連の会社、音楽療法や教育に関する会社も出店しています。最近圧倒的に増えたのは、音楽療法学部を持つ学校の宣伝ブースです。
これに加えて、AMTA自身の出版物やグッズを専門に販売する大きなセクションもあり、これも大会をより大きく見せている気がします。
●次にあげられる理由は、発表の数がうんと多い、です。
前回も書きましたが、同じ時間帯に20近くも違った発表が行われています。日本の大会では発表の同時進行は2〜3つくらいでしたから、発表総数には相当な違いがあると思われます。
日米どちらのスタイルもそれなりの良さがあります。JMTA学会は落ち着いていて、メディアサポートもとっても親切かつ時間割通りにキッチリ進行しているので、初心者の私にとって安心感は大きかったです。
そして、AMTA学会の最大の弱点は、「発表数と出店数が大きい=必要となる部屋数とスペースも大きい」ためなのか(?)、大会参加費用が日本の学術大会の倍以上、という点にあると思います。
続いては、今年のAMTA学術大会の特徴です。
今年私個人の印象に残った新しい動きと言えば、Cross-Cultural やDiversity(多様性、多民族性)についての発表やミーティングの多さでした。異文化交流、海外での音楽療法、LGBT問題のトピックはここ数年でグンと増えた印象です。今回特に新しいと思ったのは「難民との音楽療法」という発表で、大変感銘を受けました。
また、今回は Trending Topics なるものがあり、各トレンドに関連した内容の発表がグループになって行われました。(日本でいうところの「座長」付きの発表スタイルでした。)
以下、今年のAMTA学会で、トレンドトピックとされていた項目です。
〜Trending Topics 2016 @ AMTA Conference〜
1. Medical
2. Self-Care
3. Special Education
4. Aging
5. Challenging Clients
6. End of Life
7. Clinical Training
8. Stories & Music Therapy
と、多岐に渡っていました。来年は何がトレンドとされるのか、今から楽しみです。
来年のAMTA学術大会は、2017年11月16日〜11月19日、セントルイスにて開催予定で、演題募集は来年1月から、と発表されました。
(←写真は来年の大会の案内です。)
来年はセントルイスにて、本会会員様、そしてこのブログをご覧の皆様とお会いできますように!
今回も本当に楽しい学会参加でした。
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