細江弥生
今回は単語紹介ではなく、英語のアクセントや発音について書いてみます。
英語は世界のいろいろな国で話されていますが、それぞれの国や地域で違った特徴があります。
代表的なのは、イギリス英語とアメリカ英語の違いだと思いますが、それ以外にも、カナダの英語、オーストラリアの英語、メキシコ系アメリカ人が話すスペイン語が少し混じった「スパングリッシュ」、シンガポールで話される「シングリッシュ」、インドの人たちが話す英語など、様々あります。
私がアメリカ留学中印象的だったのは、カナダの英語です。カナダとアメリカはとても近いので違いなどないだろうと思っていたら結構あったのです。モントリオールなどフランス語圏の方の英語はもちろんフランス語なまりですし、英語圏の人でもアクセントの違いや言葉の違いがありました。例えば「電話するね」というフレーズは “I’ll call you” ですが、カナダ人の友人は”I’ll phone you”でした。Phoneは「電話」という名詞ですが、カナダでは動詞としてよく使うのよ、と彼女は話していました。
また、シンガポールの友人は完璧なアメリカ英語を話すのですが、同郷の仲間たちと英語で話すときは使う単語やアクセントが違うことにも驚きました。一瞬で「シングリッシュ」に変換されているのです。関西出身の人が関西人で集まるといきなりコテコテの関西弁に戻るのと同じ感覚のようです。
インド人の友人たちは完璧なイギリス英語を使いこなすのですが、発音はインドなまりなので、最初は聞き取りに苦労しました。私の学校では、留学生達が最初に受けるコンピューターサイエンスの講師がほぼ全員インドからの大学院留学生達で、「ネイティブの英語もまだ理解が難しいのにさらに難しい英語だ!」と友人達が嘆いていたのを覚えています。
香港の友人達も流長な英語を話すのですが、ぼーっと聞いているとイントネーションが広東語のように聞こえてきます。使っている単語や文法は完璧なのですが、音の抑揚に特徴があります。
人種のるつぼであるアメリカで暮らしていると、上記以外にも東欧系、アフリカ系など、様々なな英語を聞きます。そして、皆違いを受け入れて同じ「英語」という言語を使用して生活しているのです。発音がきれいなことに憧れる方は多いと思いますが、このように自国の特徴がある英語を話すこと、そしてそれを「英語」として受け入れることが当たり前になりつつある時代ですので、あまり気にしすぎず、どんどんコミュニケーションすることが大切だと思います。
もちろん通じない単語の発音は直していくべきなのですが、「ネイティブのように」と固執していると英語の上達が遅れることもあると思います。
以前に指揮者の小澤征爾さんの英語についての記事を読んだことがあります。彼の英語はとても流暢に聞こえるそうなのですが、単語の一つ一つはそこまできれいな発音ではないそうです。ただ文章として一つの音楽の「フレーズ」のように聞くと、ネイティブのようなのイントネーションになっており、それが聴きやすくしているようです。
音楽でも一つ一つの音が正確でも、プツ、プツ、っと切れていてはきれいな音楽として聞こえません。しかし、多少の音が間違っていてもフレーズとして流れていればきれいに聞こえるのと同じ仕組みかなと、私は理解しています。発音の矯正は大人になると難しいですが、イントネーションなど音の抑揚の模倣は音楽家である私たちの得意分野かもしれません。皆様も単語単語で練習することに加えて、ぜひ文章単位で音楽のように流れる英語を練習することも行ってみてください。
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