小沼愛子
左の写真をご覧下さい。
これは昨日、私の住むアパートの大家さんからいただいた、美味しいギリシャのお菓子。
そして・・・真ん中の赤い物体は?
頂いた時、あまりの赤さに一瞬ドキッとしてしまい、「これは何ですか?」と口にでかけましたが、
「あ、そうだった・・・一年前にも同じものを頂いた・・・」
と記憶が蘇ります。
そうです。見た形のとおり、これは、たまご。イースターエッグ、と呼ばれるものです。
この日曜日はイースター=復活。キリスト教徒の人達にとっては最も大切な祝日です。「復活=命の始まり」を象徴するのが「たまご」ということなようです。
さて、毎年復活祭は3月から4月のいずれかの日曜日と決められるのですが、その2日前の金曜日は、「グッド・フライデー」と呼ばれ、これもクリスチャンの方々にとって重要な日です。
昨日が正しく今年のグッド・フライデーで、近隣の公立学校はほぼお休みでした。
学校が休みということで、「その重要度」がお分かりいただけるかもしれません。(しかし、それはキリスト教徒にとってということで、他宗教の方々にとっては全く当てはまりません。)
学校はお休みでしたが、私は普段とおりに金曜日の仕事スケジュールをこなしていました。
午後、イタリア系の高齢の女性を訪ねると、「今日はholy song (神を讃える歌)を唄いたい」とリクエストされ、一緒に唄います。これはもちろん、グッド・フライデーだからということが背景にあり、そのお宅はイースターのお祝い準備に忙しそうなのも見て取れます。そこでの別れの挨拶は「happy holidays!」となりました。
そしてその直後、小学生の女の子にピアノを教えに行きます。テキストブックのページをめくると、次の課題曲がある有名なクリスマスソングをアレンジしたものであることに気がつきます。
とっさに、
「この曲、自宅で弾いても大丈夫? 〇〇ちゃんのお父さんはこういうのを歓迎しないって、前に言っていたよね?」
と、生徒に訊きます。
私そんな質問をした理由は、「クリスマスソングは季節外れだから」ではありません。
生徒のお父さんが厳格なユダヤ教徒で、キリスト教関連のお祝い事や歌はそのお宅では有り得ないから、なのです。
クリスマスソングも、holy song であり、キリスト教徒にはとっては神聖で意味があるけれど、キリスト誕生を認めていないユダヤ教の人達にとっては違った意味になってしまうわけです。
このように、学校がお休みになるほど大きな祝日といっても皆が祝うわけではないため、関係する音楽の扱いにも色々と気を遣うのが日常的となっています。
アメリカほどでないのかもしれませんが、実は日本でもそういうことは沢山あると思います。「各国の文化」という大きなくくりだけでなく、個人個人の文化を尊重することは見逃せない時代だと思います。
さて、冒頭に出てきた大家さんのイースターエッグがどうして真っ赤なのかは謎のままです。
私は昨年この真っ赤なたまご達に出会うまで、イースターエッグというと、右の写真みたいなパステルカラーでカラフルな感じのを思い浮かべていました。
大家さんはギリシャ人の移民老夫婦。クリスマスとイースターの時期になると、ギリシャの美味しいお菓子を沢山振る舞って下さるのです。これがギリシャの伝統なのかどうかまだ分かりませんが、祝い方は人それぞれ=宗派や習慣によって違うのだ、と実感します。
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