小沼愛子
ソチオリンピック、フィギアスケートのエキシビジョンを観ていた時のことです。
浅田真央選手が、「Smile (スマイル)」と「What the Wonderful World (この素晴らしき世界)」の2曲がメドレーになった、ボーカル入り=歌詞入りのものを使っていました。
この2曲とも、多くのミュージシャン達にカバーされている名曲です。そして、どちらも私の大好きな曲。美しい曲調も魅力であるけれど、歌詞の持つ力が非常に大きいと感じる2曲です。
そんなわけで、浅田選手の演技を観ながら、流れてくる音楽と一緒に頭の中で「スマイル」の歌詞を無意識に唄っていました。
その時、ナレーターさんが、「曲のとおり、(浅田選手は)スマイルに溢れています」とコメントを入れたのです。浅田選手がとても幸せそうにのびのびと演技をし、満足そうな笑顔に溢れている、というように聞こえました。
ところが、この「スマイル」という曲は、「心が痛くても心が折れても、つらくても悲しくても、涙を見せないで微笑んで。そうすればきっと乗り越えられる、人生に価値があると分かる時がくる」というような内容で、曲調も何となく悲しげです。
始終スマイルしながら唄うような曲ではない、と私は思っています。
「スマイルに溢れています」というコメントに「あれ??」となり、「ナレーターは歌詞の内容は知らないのかな・・・」と思った次の瞬間、私は自分勝手な思い込みを前提にスケート観賞していたのかも、と、ハッとしました。
「浅田選手はこの複雑な歌詞の内容をご存知の上でこの曲を選んで、それを表現したいのだ」と、私の脳はセットアップされていたようです。
この時点で、このナレーターさんと私では、浅田選手の演技やその笑顔について全く違う捉え方をしていたような気さえします。
私の思い込みと浅田選手の選曲意図が一致しているかどうかはもちろん不明です。もしかしたら、「スマイル」というタイトルだけに惹かれて選ばれたのかもしれませんし、他に理由があったのかもしれません。
私を思い込ませたのは、「歌詞の力のなせるワザ」(=歌詞を知るから、もしくは理解できるからこそ起こった事)だったと思うのです。
このような影響がフィギアスケートのジャッジ達に少しでも起こりうることがあると考えると、「歌詞なしの音楽じゃなくちゃダメ」というルールにはうなずけます。
音楽の3台要素「メロディー、ハーモニー、リズム」について考えるのは常日頃のことですが、音楽において他にも大切なことはいくつもあると思います。今回のようなことがあった日は、「歌詞ほどパワフルなものはない」と感じたりもします。
音楽の持つ力について色々な方向から考え、上手く使えるようになりたいものです。
最後に、この名曲「スマイル」をご存知ない方は、是非一度聴いてみて下さい。喜劇王チャーリー・チャップリンが作曲したことでも知られています。
↓曲について@ウィキ
http://ja.wikipedia.org/wiki/スマイル_(チャールズ・チャップリンの曲)
ナット・キング・コールのバージョンが有名ですので、リンクを貼っておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=V3Sk1ybG_-M&feature=kp
マイケル・ジャクソンのバージョンもヒットしました。「マイケルの複雑な気持を表している」というコメントを読んだ記憶があります・・・
この歌詞に共感できる人は沢山いらっしゃると思います。私もその一人で、個人的に「特別な曲」です。
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