細江弥生
米国音楽療法士学会の会員同士がEメールでコミュニケーションをとれる「メーリングリスト」というものがあるのですが、そこでは臨床に関するものや仕事に関する事について多くの意見が毎日交わされています。
最近私の目をひいたものに驚くべきトピックがありました。
それは音楽療法士をターゲットにした詐欺メールなのです。
どうやら音楽教師達をもともと標的にしたEメールが出回っていたそうなのですが、最近はたくさんの音楽療法士達もこのようなメールを受け取っているようです。
内容は大体同じパターンで、まず海外に住む人から依頼が来ます。
「こども、もしくは両親と(または両方と)そちらの国に行くのですが、長期滞在になりその間に音楽療法を受けたいと思っています」といった書き出しから始まり、症状、どれくらいの頻度とセッション時間で受けたいかなど詳しい話が書かれています。あまりにも具体的なので信じてしまいそうになります。
そして料金を払いたいのでチェックを送ります(もしくはクレジットカードで払います)と書いているのです。
日本ではほとんど使われない「小切手」がアメリカでは多く使われます。この小切手のシステムをどうやら悪用しているらしいのですが、まず必要以上の金額が書かれた小切手が送られてきます。そしてそれを音楽療法士が銀行に入金します。そうすると相手から「金額が多すぎた、上乗せ分を返して欲しい」と連絡が来ます。返金した所、銀行から実は送られてきた小切手は不渡り小切手であり返金を求められます。詐欺の犯人は音楽療法士が返金したお金を手に入れる事ができるのです。
もちろんこういった詐欺は悲しい事ですが、もっと悲しいのは本当に海外で音楽療法を受けたいと思って音楽療法士を捜している人に迷惑がかかる事です。
実際私の友人は「海外から仕事でアメリカに長期滞在する間音楽療法を受けたい」と依頼があり引き受けた事があります(これは本当に仕事でした)。このように本当に音楽療法を受けたいという人達まで詐欺かな?と疑われ良い音楽療法士に巡り遭えなくなってしまうかもしれないと思うと本当に残念です。
人の役に立ちたいと思って働いている音楽療法士の心理を裏手に取った本当に卑怯な詐欺メールだなと思いました。
今は英語でのメールが多いそうですがいつ日本語でも出回るか、また新手の詐欺方法が生みだされるかもしれません。
皆さん、お互い気をつけましょう!
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