サイコロジカル・ファースト・エイドと音楽療法

 

小沼愛子

 

今週火曜日、バークリー音楽大学の音楽療法学部で開催されたトレーニングに参加してきました。


トレーニングのオリジナルタイトルは、「Principles of Psychological First Aid and the Role of MT in Disaster Response」で、講師はアメリカ音楽療法学会(AMTA)のポリシー&リサーチアドバイザーのバーバラ・エルス(Barbara Else)氏でした。


タイトルを直接的に訳すと、「災害時におけるサイコロジカル・ファースト・エイドの原則と音楽療法の役割」となりますが、私個人としては「災害時」と断定せず、「非常事態におけるサイコロジカル・ファースト・エイドの原則と音楽療法の役割」と捉えるのが適切であると考えています。

 

*Psychological First Aidは、日本語にすると「精神的な応急手当」となりますが、すでにカタカナのまま日本語として流通しているようなのでこのままにしています。)

 

このトレーニングの紹介文をざっと訳してみます。

 

サイコロジカル・ファースト・エイド(PFA)のコア要素をすべてカバーしている導入的講義です。

また、PFAの要素をどう音楽療法に取り入れるか、音楽療法のテクニックを実際の症例を基に考察していきます。

PFAは、災害やテロの直後に人々に対して施行できる、エビデンスに基づく心理的支援の方法を機能的にまとめたもので、トラウマ的出来事により引き起こされる初期の苦痛を軽減すること、短期、長期的な適応機能と対処行動を促進することを目的とし、アメリカ赤十字、Medical Reserve Corps、そして、the U.S. Substance Abuse and Mental Health Services Administrationでその使用が認証されています。」

 

ちょっぴり小難しい感じがしてきて避けたくなるかもしれませんが、実際にこのPFAなるものを勉強すると、至って常識的なことが多く、特に音楽療法士にとっては「毎日の臨床に必須な事柄」が非常に多いことに気付きます。

 

 

サイコロジカル・ファースト・エイド(PFA)については、私などがたどたどしく説明するよりも、「兵庫県こころのケアセンター」の方々が日本語に訳された素晴らしい資料がオンライン上で手に入りますので、PFAについてまだご存知ない方は、是非是非こちらからダウンロード出来るPDFをお読みになって下さい。

 

http://www.j-hits.org/psychological/index.html

 

 

また、こちらのサイトからは、PFA各章の英語、スペイン語、中国語、日本語のファイルが無料で手に入れられます。

 

http://www.nctsn.org/content/psychological-first-aid

 

 

翻訳して下さった方々に本当に頭が下がります。ありがとうございました。

 

 

PFAは、以下のアメリカ国立の2つの組織によって作成されたようです。どちらのウェブサイトもリソースの宝庫で、いつかこのブログでも紹介したいものです。

 

National Child Traumatic Stress Network  (子ども心的外傷ストレスネットワーク)

 

- National Center for PTSD(PTSDセンター )

 

 

アメリカ国内では数多くの自治体や組織がこのPFAを推奨しているようで、ネット検索をすると無料のパンフレットや手引きなどが沢山出てきます。

 

なぜこれほど流通しているのか・・・そこにはそれなりの理由があると考えます。

 

これは、精神問題の専門家だけでなく、お子さんをお持ちのお母様方、守るべくご家族や大切な人をお持ちの方々、学校の先生方、危険な場所で働く方のみでなく、一般企業で働く方々にも是非一度お読みになっていただいきたい内容なのです。

 

分かり易い言葉・文章で書かれていて、決して理解の難しい専門書的なものではありません。何といってもそこが素晴らしいです。

 

 

今回は「PFA」の紹介で終わってしまいましたが、次回は、このトレーニングで講師エルス氏がどのような話をしたか、参加者からどのような反応があったかなどを書いてみたいと思います。

 

 

*続きブログ「disaster=災害とは決めつけられない理由」はこちらから

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    長坂希望 (金曜日, 28 6月 2013 08:43)

    とても役に立つ、勉強になる情報をありがとうございました。PFAの日本語訳、ざっくりと目を通しただけでも納得の内容でした。再度、細かく読みこんで、保育士や幼稚園、小学校の先生を目指す若者ともシェアしたいと思います。トレーニングのお話も楽しみにしていますね!

  • #2

    小沼愛子 (金曜日, 28 6月 2013 15:08)

    長坂さん、コメントありがとうございます。
    PFAは、保育、教育を勉強する学生さん達にも是非読んでいただきたい内容ですね。英語ですが、これを上手くまとめて、より取っ付き易くなっている資料もあります。用途に応じて活用していきたいですね〜。