細江弥生
6月9日に武庫川女子大学で開催された「音楽の科学研究会」の研究発表会で「音楽を用いたソーシャルスキルアセスメント」の発表をさせていただきました。
このアセスメントは以前務めていた会社にて音楽療法士スタッフ総出で何年もかけて開発している(まだ進行中)プロジェクトです。
主にアメリカ公立学校特別支援学級に通っている様々な障がいをもった子ども達対象に行動療法的視点から作成されたものです。
私自身の発表に関して言えば、莫大な情報を20分という短い時間に詰め込むのは大変難しく、また工学や医学など音楽療法の現場を実際見たことがないという聴衆の方も多い中でビジュアルがほとんどなかった私のプレゼンは、実際のアセスメントをイメージする事が難しかったようで、ビジュアルを含めて短い時間の中でももう少しアセスメントの全貌がイメージできるようなプレゼンにするべきだったなと反省しております。
「音楽の科学研究会」は大阪大学の木下先生と先生の研究室の方々が音楽と脳に関する勉強会の一環として行っているようです。
一つの研究室が行っているとは思えないほど毎回たくさんの興味深い、広い分野からの奥の深い発表があり、発表者だけではなく参加者の中にも薬学から工学、医学等様々な分野の方がいらっしゃるので、毎回大変勉強になります。
今回の演題の音楽療法に関するものの中では、全失語の方にMITを行った結果呼称できる数が増えた例や、10年程の日本音楽療法学会学術大会の抄録をデータベース化し(ものすごい作業ですよね!)抄録の中で使われている言語を分析する事によって臨床や研究の傾向をみる調査などがありました。
三重大学の佐藤先生の研究室は音楽療法を盛んに行っており、音楽療法士の大学院生も多い事で有名ですが、先生が発表した事例”musical anhedonia”(音楽を聴いても感動しなくなってしまう後天的症状)も大変興味深かったです。
感情をつかさどる大脳辺縁系が大きく関わっている”musical anhedonia”。
その中でも重要な役割を果たしている「島(とう)」というネットワーク。
これが神経科学者達の中でも最近ブームらしく、今年の日本神経心理学会総会のテーマは「島:insulaをめぐる神経心理学」そうです。
参加する度にたくさんの事を学び、様々な分野の方々とお話しし良い刺激を受けています。今回強く思ったのは、工学と音楽療法の交わりがもっと必要だということです。
私自身「工学、エンジニア」と聞いただけで硬直してしまう理系音痴なので「私なんかが工学の方とお話ししても自爆してしまうので」といじけていると「いや、まずその自爆が大事でしょ!それがないと何も始まりませんよ!」と若く優秀な研究者の方に熱く言っていただきました。
そのヨン様似の素敵な研究者の方に、いつか音楽療法と工学が融合する必要性について分かりやすくお話していただけないかと密かに計画を練っております。
「工学にも強い音楽療法士」
なんだかかっこいいですね。
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