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「楽器のメインテナンスについて」vol.2
細江克洋
次に楽器の保管場所です。楽器は直射日光があたる場所や、温度が高く熱気がこもりやすい場所での保管には特に気をつけなければいけません。
例えばキーボードやギターを真夏日の日光の当たる窓際で保管したり、車の中に置きっぱなしにするのは禁物です。キーボードもパソコンと同じように精密機器です。日光に長時間さらされると熱で表面が変形したり、 内部の基盤や回路に悪影響が出る可能性もあります。
またギターもバイオリンやチェロ等と同様木製の弦楽器なので、その環境の温度や湿度によって表面の木が膨張したり収縮したりと影響を受けます。
極度の温度変化、湿度変化によっては表面が割れたり、ネックが曲がってしまう可能性もあります。今一度保管部屋やセッションを行う部屋の一日の中での温度変化や楽器の配置を確認してみてください。夏に窓際や、冬に暖房器具の側に楽器を保管されている方は気づかないうちに楽器に負担をかけてしまっているかもしれません。
また移動の際、楽器類が多くて重い場合、台車やキャリーカートがあるととても便利なのは皆さんご存知の事と思いますが、時々面倒くさくなって「これくらいの距離ならば大丈夫」と思って無理に手で運ぶ方もいるのではないでしょうか。
しかし、音楽療法士は毎日重たい荷物や無理な姿勢での演奏を行っています。身体が資本のこの仕事ではなるべく腰や背中に負担をかけない事が大切になってくると思います。ほんの少しの距離でも少し重い程度でもなるべくこういった道具を使う事によって、私たち自身の身体にかかる負担を軽減し、怪我等を防ぐ事にもつながるのではないでしょうか。楽器の管理と同様、私たち自身の管理も大切な事だと思います。
また、楽器や機材を運ぶ上で、病院や施設の予算によってはケースや台車を購入出来ない場合もあると思います。
その場合、例えば病院や施設で本来楽器を入れるのに使われていない物で、まだ使えそうなのに捨てられてしまう容器、入れ物を楽器用にアレンジ、改造して利用するのも(もちろん管理者から使用する許可を取る事が必要)良い方法だと思います。
音楽療法士にとって楽器は臨床を行う上で必要不可欠な道具です。
普段から使っていて、気に入っている楽器達をこれからもずっと末永く使っていきたいと思う方も多いと思います。楽器を購入する予算も限られている方も多いと思います。楽器の負担を減らし、長持ちさせる事によって出費を減らして、予算を節約する事にもつながると思います。楽器の使い方を知るのと同じように楽器を管理する事は音楽療法士にとって重要になってくると思います。
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「なかなか手が回らない事も多い楽器や機材の手入れや扱い方について再考していただける機会になれば」という思いで書いて下さった今回の細江さんの記事でした。
さて、上の写真は、私、スタッフ小沼が以前働いていた施設で、捨てられようとしていた薬剤運搬用の中古カートを改造して作った、楽器運搬用カートです。外には色画用紙を切った簡単で低コストの飾り付け、3段ある引き出しの中は仕切りを入れ替えて各楽器に合ったサイズに改良しました。4つ車輪が付いていたので安定して広い施設内を行き来出来る優れものでした。
細江さんも書いて下さった様に、予算の限られている音楽療法現場は本当に多いと思います。私の職場も正しくその一例でありましたから、なかなか必要な物を購入してもらえませんでした。そんな中、このような機材の改良やデザインの作業はそれなりに楽しいもので、それが仕事上で上手く機能することは嬉しいことだったのを思い出します。
最後になりましたが、「状態良く保たれた楽器で気持ちよく良い臨床を行えるように」とお考えの細江さんは、音楽療法士の為のギターレッスン、楽器の扱い方についてのコンサルティングも行って下さるそうです。ご興味のある方は本会までメールにてご連絡下さい。
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