小沼愛子
ブログその52&53からの続き、Music Cognition 関連のトピックです。
先月、North East Music Cognition Group (NEMCG) という団体の定例会がボストン大学で開催され、臨床士の私も研究者の方々に交じって発表させいただきました。
この団体、NEMCGのウェブサイトによりますと、アメリカ東北部のこの分野の研究者の交流を目指して2010年に設立され、定例会は、ワシントンDCエリアからニューヨーク、ボストンエリアなどで行われることになっているそうです。
定例会での発表はカジュアルなものであり、業界内の相互交流を促す目的で行われている、ということです。
以上の説明を読んで、すっかりローカルで小さな集まりだと思い込んで気楽に出かけたのですが、今回の発表者には、ルイジアナ州立大学、テキサスのヒューストン大学、カナダのモントリオール大学など遠方から参加している研究者達も結構見られ、ちょっと驚きました。
発表はいくつかのグループに分けられ、「音楽分析」、「音楽と言語」、「リハビリテーションとテクノロジー」などの項目別になっていました。
私の発表は「The Use of Music in Neuropalliative Rehabilitation」というタイトルで、音楽をどのように神経緩和リハビリテーションの場で使っているかを、自分の過去の音楽療法臨床の例などを使いながら紹介したものでした。「リハビリテーションとテクノロジー」の一部として発表したのですが、実はリハビリ的な内容は私ともう一人の音楽療法士によって行われただけで、他は皆無でありました。
25組の発表の内容は本当に多岐に渡っていて、中には(私の頭脳では)大変難解なものもあり、発表者の多くの方が、ご自分の興味のある事柄をひたすら追求なさっている、という印象を受けました。正しく「研究者の集い」という感じです。
音楽関連の研究、と言っても、本当に色々なものがあることを再認識する一日となりました。少数でしたが、音楽療法の研究や臨床に応用できそうな発表もありました。
私が“音楽療法の学会”ではない学会で音楽療法の発表するのは、昨年スコットランドで開催されたNeuroscience and Music (神経科学と音楽)の学会以来2度目となります。
前回、今回ともに共通することは、基本的に研究者の方々の集まりであり、音楽療法士の参加も発表も大変少ないことです。高名な 研究者やアイビーリーグの博士課程の学生達に交じって発表するのはやはり気後れするものですが、音楽療法の臨床を知っていただくために、また、音楽関連、神経学関連の研究がどう進んでいるのかを勉強するためにも、このような学会に参加発表することは意義のあることだと考えています。
音楽療法界において、他業種とのコラボレーションが必須である、ということは通説となってきたと思いますが、他業界の方に音楽療法を理解していただくためには、まずこちらから歩み寄って理解する姿勢を示すことが大切だとも思います。
各々の学会や業界のカルチャーや定石を勉強するのはなかなか大変なことですが、まだまだ発展途上の音楽療法界において他業種から学ぶことは本当に多いものだと、こうして「音楽療法」の外に出る度に痛感します。
発展途上と言えば、このMusic Cognition という分野もその真っ最中であると強く感じました。多岐に渡って音楽と人間の関係を研究している分野、これからも目が離せないと思います。
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