小沼愛子
前回からの続き、アメリカ音楽療法学会のリポートです。前回、前々回をお読みなっていらっしゃらない方は、
をご覧下さい。
今回は、岩手県在住の音楽療法士、智田邦徳さんが昨年の東日本大震災発生直後から続けていらっしゃる、被災者の方々の為の音楽療法活動リポートの発表と、その関連事項について書かせていただきます。本会スタッフ井上と私は、智田さんのリポートを英語に翻訳、ポスター作成をし、このAMTA学術大会にて代理発表させていただきました。
智田邦徳さんは、宮古市や周辺地域において、2011年4月より避難所を、2011年10月より仮設住宅を訪ねて音楽療法を行っていらっしゃいます。常勤音楽療法士としてのお仕事をお持ちであり、これらの活動は主に週末になさっているということで本当に頭が下がります。現在もこの活動を継続されているのみでなく、将来も続けていく、というご意志を強く表明なさっています。
今回のリポートでは、岩手県の被害状況、ご自身の音楽療法活動内容の報告に加え、被災された方の心理や音楽療法士のセルフケアなどについてもお話になっています。また、どのように被災された方々と信頼関係を築いていくことに心を砕かれているか、そして、支援者の為の支援、についての見解も書かれていらっしゃいました。
この「支援者の為の支援」というトピックについて、かねてから持論を持つ私は、今回智田さんのお手伝いをしたことと、この学会で災害対策のエキスパート達と再会、意見交換したことで、この概念「Care for the Caregivers」について改めて考えさせられました。これに関しては、本会ニュースレター11月号のコラムに書かれていますので、皆様に是非お読みになっていただき、ご意見ご感想をお聞かせ下されば、と願っています。
さて、ここで、今回発表させていただいた智田邦徳さんの被災地支援音楽療法リポート「Music Therapy of Disaster-Affected Areas Support in Japan」より、「最後に」というセクションの一部を原文にて、ご本人から許可を得てここに掲載させていただきます。
「一度失われた「ふるさと」は二度と戻らず、以前のように活気ある社会生活を取り戻すには、気の遠くなる長い時間を必要とするでしょう。私はこの土地に住み続け、一生をかけて被災した人たちに寄り添い、音楽を通した心の交流を続けて行く決意をしました。ニーズは刻々と変化するので、何度も発表をしたいと思っています。機会がありましたら、現地に足を運んで彼らがどのように自分の足で立ち上がり、諦めずに前へ進んでいるかを実際に見に来てください。私に連絡をくださればご案内しますので、気軽に連絡を下さい。」
智田さんの活動をご同行されたい方、またその他ご質問やメッセージ等ある方は、本会まで「お問い合わせフォーム」より、
もしくはinfo@mtkakehashi.comまでメールにてご連絡下さい。
いただいたメッセージは本会より智田さんに、責任を持って転送させていただきます。
災害支援には色々な形があるのは皆さんご存知のとおりです。私自身、過去に様々な形でボランティアや支援活動をしてきましたが、音楽療法士としてどう長期的にサポートしていけるかを常に考える中、今回、代理発表という形でお手伝いしたことで、また新しい形が考えられるようになりました。 このところ、「東日本大震災を風化させないように」を命題に、著名人による様々な活動も見られます。有名な方々のような影響力はないけれど、私のように無名な音楽療法士にもそれなりに出来ることがあるのだと思います。音楽療法業界内でこうして語り続けていくことも 、大切な支援のひとつではないでしょうか。本会では今後もこのような支援活動を継続して参りますので、皆様からのご支援ご協力をよろしくお願い致します。
今年のAMTA学会関連のリポートは今回で終了しますが、まだまだ書き足らないくらい、盛り沢山の4日間でした。
最後に、来年のAMTA年次学術大会の告知です!
2013年11月21日から24日、フロリダ州ジャクソンビルにて開催予定だそうです。(次回は暖かい場所!というだけで気持ちが明るくなり参加意欲が増してきます。)
「また一緒に参加しましょう」とおっしゃって下さった方々、フロリダでお会い出来るのを今から心待ちにしています。そして、まだAMTAの学術大会に参加されたことのない方々、是非一度足をお運びになってみて下さい。
思えば、このところ毎年のように日本から参加されている方とお知り合いになる機会があり、それが個人的な楽しみの一つになっていることに気づきました。来年のAMTA学会で沢山の日本人音楽療法士の方とお会い出来ることを楽しみにしています。
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