小沼愛子
ブログ168、169に引き続き「燃え尽き症候群=バーンアウト症候群」の話です。
以下の話は、私が以前働いていたある職場で実際に起こったことです。
新人介護士さんが非常に頑張ってテキパキと業務をこなしていました。「明るくてよく働く人が入ってくれていい感じだね」、と私が言うと、同僚の中堅看護師が、「あの人、今のペースで仕事を続けたらバーンアウトするよ」と冷たく言うのです。
「そう思うならサポートしてあげた方が良くない?」と言う私を同僚は半ばあきれ顔で見つめ、「もちろん伝えたわよ。でも、あのタイプは人に言う事を聞かないから。」
何ヶ月か後、その新人さんは見事にやる気を失い・・・いつもダルそうで、その仕事ぶりは入った当初と別人と化していました。とても残念だったのですが、同僚看護師の言う通りになってしまったのです。
介護の現場は精神的にも肉体的にも過酷なものですから、周りのアドバイスを聞かず、自分の容量を超えて頑張り続けてしまえば、この例のようにバーンアウトに陥ることは簡単かもしれません。
実は、私自身もバーンアウトを経験しています。
若い頃は仕事で無理を言いつけられても上手くかわす術も知らず、上手くいかなければ自分が至らないのだとがむしゃらに頑張ってみたりして、でも自分の中には「本当は自分の仕事はこうであるべき」という理想のようなものもあり・・・がんじがらめの中、ひたすら頑張って仕事をしていました。
しばらくその仕事を続けた後、私は見事なまでに典型的なバーンアウト症状に陥りました。とにかく無気力で何もしたくなくて自分自身に困り果て辛かったことを、20年以上経った今でもよく覚えています。良かった事は、その体験があったがゆえ、それ以来そうならないように常に気をつけるようになり、ある程度難しい状態に陥った時に違った選択が出来るようになったことです。
私達の日常には選択が満ち溢れています。選択肢は白黒2つだけではなく他にも方法があることが多いものですが、一生懸命すぎるとそれが見えなくなることがあります。白黒はっきりさせたくても出来ない時は、とりあえずグレーでもいいケースが実は沢山あると思うのです。
一途(頑固)に突っ走ってしまう、頑張り屋ではあるが周りの意見を取り入れない、
白黒はっきりさせたい完璧主義、など、もえつき症候群に陥り易い性格はあるようです。
さて、今回燃え尽き症候群について調べていたらところ、似て非なる状態を現した言葉を沢山見つけたので、その一部を簡単にご紹介します。
1) 退職症候群 (仕事一筋できた人が退職後何をしたらよいのか分からなってしまう症候群)
2) 錆び付き症候群 (リストラの後など、やる気があっても働く機会のない人達に起こることがある症候群)
3) 空の巣症候群 (子供の独立後、子育て一筋に頑張ってきた主婦に起こることのある症候群)
4) 上昇停止症候群 (仕事場で周囲からの期待が大きすぎて重荷に感じる人に起こることのある症候群)
5) サンドイッチ症候群 (いわゆる中間管理職の人達に起こることがある症候群)
6) スーパーウーマン症候群 (子育ても仕事も家事も完璧に、と頑張る女性に起こることがある症候群)
上手い事名前をつけるなあ、と感心しましたが、この中で私が一番気になったのは「スーパーウーマン症候群」です。圧倒的に女性の多い音楽療法業界、これにあてはまりそうな方もいらっしゃるかも、というのがその理由です。これはまたいつかこのブログで取り上げてみたいと思います。
さて、これらのネーミングも正式病名ではなく、燃え尽き症候群同様、書く人によって捉え方が違っていることがあります。また、名前は違っていても、いずれの症候群にも症状には共通点が見られます。(そのためにネーミングも混乱・混同している様子も見られます。)
いずれにせよ、これらの傾向と対策を知っておく事は、療法士達にとっては大切では、と今回調べてみて感じました。
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